ドラゴンと戦っている村があった。その村のヒック少年が、自分で作った機械(飛び道具)でドラゴンを攻撃したら、見事命中して墜落させることができた。後にヒックは山の中で身動きの取れなくなっていたドラゴンと出会う。それがトゥースだ。ヒックはトゥースに対して敵意がないことを示し、肌を触れあわせ、餌を与えるなどしてトゥースの警戒を解き、馴らしていく。トゥースは羽根(尾についているひれのような部分)を失って飛べなくなっていたので、ヒックは新しい羽根を作ってつけてやった。初めはうまくいかないが、改良に改良を重ね、うまく飛ぶことができるようになり、さらにちょっとした仕掛けを施すことによってトゥースを自由に「操縦」できるようにまでなった。思い通りの方向に飛ばせることさえできるというわけである。
ヒックはトゥースと触れあっていく中で、ドラゴンの習性や性質を深く理解するようになった。何が苦手か、何が好きか、どこをどう撫でれば大人しくなるか、などなど。同年代の子供たちと参加している「ドラゴン訓練」ではその知識を活用して次々とドラゴンを手懐けて大活躍、村中で弱虫だと思われていたヒックは一躍英雄扱いとなる。
ヒックの変化を怪しんだアスティ(女の子)はヒックをつけ回し、やがてトゥースとのことを知る。ドラゴンと仲良くするなど、村ではもちろんタブーである。アスティは村に告発しようとするが、トゥースの背中に乗って空を飛んでいるうちにトゥースのことが好きになり、ヒックにも恋心を抱く。もちろんアスティは秘密を守った。
しかし、結局トゥースは村に捕まり、さらにヒックは、トゥースがドラゴンの巣の場所を知っているということをうっかり話してしまった。バイキングたちはトゥースに案内させてドラゴン討伐へ出かけていった。
ドラゴンたちは、一匹の巨大な女王ドラゴンに村から奪った食糧を捧げていた(蜂の巣のような仕組みらしい)。そうしなければ自分が食べられてしまうのだ。ヒックはそのことを知っていた。だから、女王ドラゴンさえ倒せばこの仕組みはなくなり、村からいたずらに食糧が奪われるということもなくなるとわかっていた。討伐隊が出て行ったところで、大人たちが全滅するかドラゴンたちが全滅するかの二択で、ヒックはどちらも望まない。それに、どちらにしてもトゥースの命はないだろう。
そこでヒックは、アスティや他の子供たちと一緒にドラゴンの巣に向かい、大人たちとドラゴンたちとトゥースとを救うことにした。船は動かせないので、ドラゴンに乗っていく。ヒックの指導で子供たちは捕虜にしていた訓練用のドラゴンを手懐け、それに乗って出発した。
巣では女王ドラゴンに大人たちが完全に圧倒されていた。バイキングの長、ストイック(ヒックの父)も「自分が愚かだった」と認め、ゲップ教官(子供たちにドラゴン訓練を施していた人物)とともに、他の大人たちを逃がすための時間を、命を賭して稼ごうとしていた。
そこへドラゴンに乗ったヒックたちが到着する。ヒックが適確に指示を出し、ドラゴンオタクの少年が膨大な知識を応用して女王ドラゴンの性質を分析、それをもとに子供たちが優れたコンビネーションによって女王を攪乱し、その間にヒックの手によって無事トゥースは助けられた。ヒックとトゥースは見事弱点を突き、女王を倒す。
ヒックは戦いの中で傷つき、長い間気を失っていた。目が覚めた時には、バイキングの村全体がドラゴンをペットとして受け入れていた。「奪い・奪われる」関係から「与える・与えられる」関係へ変わったのである。
ここでようやく「ヒックとドラゴン」というタイトルが初めて表示され、エンドロール。
女を知らない愚かすぎる男たちほど
たやすくまわりに乗せられる“自信のなさ”で
生身のからだ慣れちゃいない男たちほど
女らしさ、はき違える“自信のなさ”ね