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12月23日

2004(木) 天のお誕生日

 コラムです。
 今日のテーマは、「天皇誕生日」。
 さて。
 今年もみなさんが待ちに待った天皇誕生日の季節がやってまいりましたね。
 みなさんは、いったいどんな、天皇誕生日をお過ごしになられるのでしょうか。
 天皇誕生日と聞くと、私はあるエピソードを思い出さずにはいられません。
 あれは私が、小学校5年生のころ。
 あ、いや、6年生だったかな。
 あ、やっぱ5年生ですね。
 あー!!間違えました。これは、えー。
 高校1年生だった頃の話ですね。
  田中「ふつうそんなの間違えっこねえだろ!」
 ごめんなさい。
 えー
 それでですね
 中学校に上がったばかりの私は、
  田中「高校1年生じゃなかったのかよ!」
 新しい環境というものに馴染めないまま、4月が過ぎ、5月が過ぎ、遂に、夏休みがやってまいりました。
 これから話すのは、のちに私の親友となる吉田という男との、一夏の冒険の物語です。
  田中「あれっ、いやいや、天皇誕生日がテーマじゃなかった?今週は?なあ?」
 それでその、吉田がですね、まあ、吉田って私は呼んでるんですけど、彼の本名は佐藤って言うんですね、それで
  田中「どんなあだ名だよ」
 それで、
 その吉田という男も私と同じように、もう夏休みだっていうのにクラスの中に一人も友達がいなかったんです。
 終業式の日、一学期の終了を告げる最後の鐘の音が響き渡ると同時に、
 私と吉田を除いたすべてのクラスメイトはみんなでワッと、もう一丸となって、
 温泉旅行に出掛けました。
  田中「そりゃいじめってんだよ!いじめられてたんだよお前とその吉田ってやつはよ!」
 嵐の後の静けさ、とでも言うのでしょうか。すっかり静寂の支配を受けた殺風景な教室の中に取り残された私と吉田の間に、なにか、奇妙な友情のようなものが芽生えたことは、不思議ではないでしょう。
  田中「(笑)まあ、なあ」
 それから私と吉田との関係は次第に深まって行き、一緒にお弁当を食べたり、
  田中「あー、中学生らしいですねえ」
 ドカベンを読んだり、
  田中「…まあまあ、読むかもしれませんよね、そりゃ」
 十勝花子の悪口を言い合ったり、していました。
  田中「なんでだよ!その時点では十勝さんもなんも変なこと言ったりしてねえだろ!」
 それはそれは微笑ましい、友人関係だったと思います。
 しかしそんな二人の関係に亀裂の入る時が、やってきました。
 冬も近づいたある日のお昼休み、吉田は私の席へつかつかと歩み寄って来て、こう言ったのです。
 「おい、光。お前、今度の天皇誕生日、空いてるか」
  田中「ああ、やっとここで絡んでくるわけだな、今週のテーマが」
 吉田のこの突拍子もない質問に驚きを隠せなかった私は、咄嗟に、こう答えるしか、ありませんでした。
 「ハァ?天皇誕生日?たとえ空いてたって、お前なんかと遊んでやるわけねえだろ!」
  田中「なんだよそれ!微笑ましい関係じゃなかったのかよ!」
 どういうわけか、その後、私と吉田との仲は急速に遠ざかっていきました。
  田中「いやはっきりしてんじゃねえかよ原因は!」
 吉田がそうとう、心の狭い人間だったとしか、私には思えません。
  田中「ホント最低だなお前は」
 以上、コラムでした。
  田中「おい」

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